インタビュー
- 新機軸のストーブは「とにかく軽く!」「ストレスなく!」
- コンパクトさを重視し、分離型ではなく、直結型に
- 頼もしい相棒、山岳地に適したガス缶「CB TOUGH」
- 検品は全品、本社工場で! だから安心して使える
- 細部にも工夫あり! こんな部分にも注目!
ST-350 レギュレーターストーブ TriTrail(トライトレイル)
リーズナブルなCB缶モデルで、使い方簡単! しかも軽量
新富士バーナーが発信するアウトドアブランド「SOTO」。調理器具を中心に日本ならではの開発力で革新的なアイテムを続々と生み出している。それにしても、どのような発想から、これまでにない製品を生み出し続けているのか? ここでは注目アイテムをいくつかピックアップし、それぞれの開発責任者にアウトドアライター高橋庄太郎が話を聞いた。まずは第一弾として、新機軸のストーブ「TriTrail(トライトレイル)」をご紹介しよう。
新富士バーナー 開発部 主任 三好琢磨さん(トライトレイル担当)
リーズナブルなCB(カセットガスボンベ)缶を登山でも使えるようにと、重量をわずか135gに抑え、収納時もコンパクトになるストーブ(バーナー)。低温下でも火力が安定するマイクロレギュレーターを搭載し、強風下でも火が消えにくいすり鉢型のバーナーヘッド(火口)を採用している。なお、SOTOのCB缶を使う定番バーナー「ST-310 レギュレーターストーブ」と比べて、重量は約59%、収納サイズは約42%も削減できている。
・本体収納サイズ:幅112×奥行 47×高さ113mm
・重量:135g(本体のみ)
・発熱量:2.6kW (2,200kcal/h)(ST-760使用時)
・使用時間:約1.5時間 (ST-760を1本使用時)
新機軸のストーブは「とにかく軽く!」「ストレスなく!」
インタビューは工場を併設している愛知県の本社の会議室で行われた
高橋:アウトドア用のストーブ(バーナー)といえば、基本的には半球型のOD(アウトドア)缶タイプですよね。だけど、僕は以前から低山や海岸のキャンプなどでは細長い筒型のCB(カセットガスボンベ)缶タイプのバーナーも使っていました。CB缶のほうが価格は安くてリーズナブルですし、OD缶よりも取り扱っているお店が多くて入手しやすいですから。ただ、使い勝手はやはりOD缶タイプのほうがよくて。
三好:そうですよね。OD缶のほうが頑丈なので安全に持ち運べますし、封入されているガスの関係で一般的には高山や冬季など気温が低いときでも火力が安定しますから。
高橋:それに、CB缶と合わせて使うバーナーはステンレスを使用したものが多くて、軽いタイプが少ないのが難点です。キャンプ場で使う分にはクルマなどで持っていくからいいのでしょうが、登山のときは人力で運ばねばならないわけで。もっと軽いものがあればいいのに、と思っていました。
三好:そこで、「CB缶タイプで山に持っていける、極限まで軽いストーブ」というコンセプトで考えられたのが「TriTrail(トライトレイル)なんです。もともと社内には「とにかく軽く、山でもストレスなく使えるCB缶ストーブを!」という構想がありました。母体となるのはOD缶タイプで評価が高い弊社の「マイクロレギュレーターストーブ ウインドマスター」で、このストーブの本体の形状を少しアレンジして取り入れ、基本的な機能性も受け継いでいます。
左がトライトレイルで、右がマイクロレギュレーターストーブ ウインドマスターのゴトクを外した本体部分。たしかに本体部分はほとんど同じ形状だ
高橋:おお、たしかに同じような形状だ! 僕はどちらも使っているのに気付いていませんでした!
三好:登山向けのCB缶ストーブを開発するには“低温対策”と“軽量化”が核となります。そのとき、ウインドマスターのようなOD缶ストーブで培った社内の知見と技術を、どのようにCB缶ストーブにフュージョンさせていくか? そこが難しいところでした。
コンパクトさを重視し、分離型ではなく、直結型に
トライトレイルを愛用している高橋からは、ユーザー視点での質問が飛んだ
高橋:重量はもちろん、サイズがコンパクトな点もいいですね。
三好:当初はストーブ本体とCB缶が離れていて、それらをホースでつないで使う“分離型”も考えましたが、それだとホースやボンベ側のインターフェイスの問題で、どうしても重量がかさみ、パーツの分だけ大きくもなります。それを踏まえ、分離型にすることはいったん保留し、トライトレイルは“CB缶タイプで社内製品の最軽量記録を更新する”ことを目指しました。そのために重量増の大きな要因となるゴトクは、耐久性を損なわない細身にしたうえで軽量なチタンにするといった工夫をしてあります。
力をかけずに折りたため、しかも確実に固定できるゴトク。トライトレイルのキモとなる部分だ
収納時は手の平サイズに。実際に手で持つと、驚くほどの軽さだ
高橋:本来ならばゴトクに合わせて3カ所になりそうなスタビライザー(本体を安定させる脚)が2本のみで、CB缶自体をもう1本の代わりに使っているのも軽量化とコンパクトさを促進するためですか?
三好:その通りです。しかし、たんにCB缶をスタビライザーとして利用するだけではなく、本体とCB缶を連結するボンベホルダーを少し固めにして、クッカーを置いたときに不安定にならないように考慮してあります。ただ、本体とCB缶が近い位置にあると炎の熱でCB缶が熱せられて危険な状態に陥ることもありうるので、それらの間に薄い金属の遮熱板も加え、安全面で配慮しています。
本社工場の一角にずらりと並んでいたトライトレイルの遮熱板。工場製品とは思えないほどの美しさだ
頼もしい相棒、山岳地に適したガス缶「CB TOUGH」
高橋:そういえば、トライトレイルと同じタイミングで新しいCB缶「CB TOUGH」も販売開始されましたね。寒冷な山でも火力が安定する混合ガスが充填され、缶も破損しにくくて安全に持ち運べる構造のものになっている、という……。
三好:このCB TOUGHの開発は、トライトレイルの開発にも大きな影響を与えました。CB TOUGHに使われているガスは、液化イソブタン、液化ノルマルブタン、液化プロパンを配合していて、非常に強力。低温のときや残量が少ないときでも火力が安定します。そんなこともあってトライトレイルはCB TOUGHと組み合わせていただくと、ますます山で使いやすいんです。
高橋:トライトレイルは一般的なCB缶でも使えるけれども、CB TOUGHとのコンビにすれば寒い時期でも火力への影響が少なくなるわけですね。
同心円状に細かく並んだ火口。中央に向かって凹んだすり鉢型のため、風が直接当たらず、火力が安定する。ウインドマスターのDNAを受け継いだ設計だ。
三好:トライトレイルには、気温が低い場所や、長時間使っているうちに生じる火力低下(ドロップダウン現象)を制御する“マイクロレギュレーター”が搭載されているのも大きなポイントです。だから、必ずしもCB TOUGHを使わなくても、状況によっては他の一般的なCB缶でも十分な火力が得られます。もともとCB TOUGHは通常のOD缶よりリーズナブルですが、一般的なCB缶よりは少し価格が上がります。だから状況に応じてCB缶を使い分けていただけば、さらに経済的になりますよ。
検品は全品、本社工場で! だから安心して使える
高橋:先ほど工場を見学させてもらいましたが、トライトレイルの燃焼検査はおもしろかったです!
三好:全品、人間の目で確認しているんですよ。すべて安全のためです。不具合があるものはほとんど発見されませんが、これは大事な作業です。
燃焼検査前のトライトレイル。本社工場にはこのようなボックスが数十も並んでいた
工場内でトライトレイルの燃焼検査を行なっている様子。ひとつひとつ担当者の目で確実に確認していく
高橋:トライトレイル自体の細かな部分にも安全を高めるための工夫を感じます。先ほど話に出てきた遮熱板もそうですが、たとえば燃料調整用のツマミのなども。
三好:耐熱性のコーティングを加えている部分ですね。ガス検と呼ばれる日本の厳格な検査・認証をクリアし、連続燃焼させたあとに触れても火傷を起こさないように考えられています。イグナイター(点火装置)の部分も同様に処理してあります。
輻射熱(または反射熱)で熱せられる可能性がある箇所は、耐熱性の樹脂でコーティング
高橋:コストが少し上がったとしても安全第一、と。軽いし、コンパクトだし、しかも安全に配慮しているのだから、2024年の発売開始以降、売れ行きが好調なことにも納得できます。完成度が高いですね!
細部にも工夫あり! こんな部分にも注目!
TriTrailの「Tri」とは「Triple(トリプル)のこと。それゆえにゴトクは3本で、それらが三角形に配置されている
ゴトクの上には金属プレスでミゾが形成され、クッカーを置いたときの滑り止めとなっている
バーナーヘッドからの熱がCB缶に伝わらないように配置された遮熱板。安全性を高める重要なディテールだ
イグナイター(点火装置)も付属。最下部にあり、力を入れて押しても本体が傾きにくい
CB缶バーナーの新常識
コンパクトで軽量な最新モデル

軽量でコンパクトなCB缶仕様のシングルストーブ
「レギュレーターストーブ ST-310」や「レギュレーターストーブRange ST-340」に続き、
登山用のシングルストーブが登場。
これまでの安定感はそのままに、様々な箇所で軽量化を実現しました。


ST-310と比較すると、約59%の軽量化、
ST-310と比較すると、約42%の収納サイズを実現。
持ち運びが便利になり、携帯性やパッキング性に優れています。

耐風性に優れたすり鉢状の火口を採用。
ゴトクの材質はチタンを採用。
本体の軽量化をするとともに、熱伝導の低さからゴトクの加熱を抑制しヤケドのリスクを低減します。

ステンレス製の点火アシストレバー標準装備。

軽量化のため、遮熱板を必要最小限かつ安全なサイズに設計しました。

収納性・携帯性もアップ
ゴトクが3本になったことで収納時もよりスリムに。
ST-310と比較して収納時の幅が42%コンパクトになりました。

収納ポーチの素材はタイベックを採用。
耐水性、強度、安全性に優れています。

























