インタビュー
多様なアイデアが込められて、至れり尽くせり 調理に幅が生まれる「ナビゲータークックシステム」
新富士バーナーが発信するアウトドアブランド「SOTO」。調理器具を中心に日本ならではの開発力で革新的なアイテムを続々と生み出している。それにしても、どのような発想から、これまでにない製品を生み出し続けているのか? 注目アイテムをいくつかピックアップし、それぞれの開発責任者にアウトドアライター高橋庄太郎が話を聞いた。
ここでは大小のクッカーに加えて、マナイタになるフタやコジーまで付属する「ナビゲータークックシステム」についてご紹介しよう。
「ハードアナダイズド加工」を施し、耐食性に優れるクッカーを中心とした調理用具のセット。大小のクッカーは1.2L&1.0Lと1~2人向けの大きさだ。それぞれにまな板としても使え、同時にOD缶を固定するスタンドにもなるリッド(フタ)が付いており、小型クッカーはクッカー保温用のコジーやクッカーの上に乗せる保温ディスクも組み合わせられる。さらにリフター(ハンドル)はトングとしても活用できるなど、さまざまな工夫が加えられている。
・容量:クッカー大1,200ml(満水容量:約1,800ml)、クッカー小1,000ml(満水容量:約1,200ml)
・収納サイズ:直径190×高さ92mm
・総重量:480g
新富士バーナー 開発部 係長 西島丈玄さん(ナビゲーター クックシステム担当)
海外もイメージした大きめのクッカーが主役
インタビュアーはナビゲータークックシステムを長年使い続けてきただけに、話には熱が入った
高橋:このナビゲーター クックシステム、発売して何年になりますか? 僕もずっと使い続けていて、途中でリニューアルしたことも覚えていますが、もはや定番品といえるほどの歴史がありますよね。
西島:初代は2017年の発売だったので、もう10年近くになります。そのころ、登山やキャンプのユーザーから「ご飯を炊きたい」「麺類も調理したい」と調理しやすくて長く使えるクッカーのセットが欲しいという声を多くもらっていました。それを踏まえつつ、当時は海外もかなり意識していたこともあり、クッカーの容量など海外向けの大きめサイズ感で設計しました。そのために通常の日本の感覚からすると、容量が少し大きいと感じるかもしれませんね。日本ではコンパクトさを求められる一方で、海外では「家族や仲間など大人数でシェアできる調理用具」の要望も高かったんです。その間の大きさになりました。それにナビゲータークックシステムはパスタを茹でることをかなり意識したデザインになっているのですが、それも海外をイメージしているからです。
高橋:だから、小型のほうのクッカーでも普通よりは大きめだし、フタには湯切りの穴がつけられているんですね。それにリフターがトングのように使えるのも、パスタをクッカーから引き上げるのに役立っていますね。ほかにも海外を意識した点はありますか?
大小のクッカーのフタには、どちらも湯切りのための穴がたくさん空けられている
リフターはバネの力で自動的に開くようになっており、ひっくり返すとトングとしてモノをつかめる
耐久性をアップし、使いやすくするクッカー表面のふたつの加工
西島:クッカー表面に施しているスーパーハードアルマイトですね。アルマイト被膜が普通よりも分厚く、硬くなるような処理を行なっています。日本人ならわりと丁寧に使ってもらえますが、海外の方はそうとも言えないので、調理のときにガシガシ使ってもアルマイトが極力剥がれないようにしているのです。
高橋:なるほど、わかります。日本人はモノの扱いが丁寧な人が多いので、そう簡単にはクッカーを傷つけたりしないですよね。ただ、僕は日本人らしくないガサツな性格なので、海外を意識したスーパーハードアルマイトになっているのはありがたいです。
スーパーハードアルマイト加工が加えられたクッカーの内側。水量の目安になる目盛りもつけられている
西島:鍋底には、砂などを空気で吹き付けることであえて表面を荒らすショットブラストという細かな傷のようなものを付ける加工をしています。そのために、ストーブの上に置いたときに滑りにくくもなっています。
高橋:なるほど、クッカーの裏面の摩擦感を高めているんですね。
西島:先ほどのトングにもなるリフターの話で言えば、フタをしたままのクッカーをリフターでつかみやすいように、フタに切り欠きを入れました。このフタにはほかにもいくつかの機能を持たせていて、天面はまな板に使える素材にし、裏側にはOD缶(ガスボンベ)が滑らずに固定できる円形のリブを付けています。
フタの一部に切り込みを入れることで、フタをしたままでもリフターでクッカーを持ち上げることができる。フタのいちばん左の金属パーツは、フタを持ち上げる持ち手だ
高橋:本来のフタとしての機能に加え、まな板、ガス缶の固定もできるとは、多目的すぎますね!
西島:ただ、フタの持ち手(つまみ)を小さな金属パーツで小さくしたのはいいのですが、正直言いますと、これはユーザーのみなさんからは賛否両論。小さすぎて不便だという声もありますが、使い慣れてもらえれば……。
高橋:収納時に持ち手が出っ張らないのはいいと思いますよ。そういえば、クッカーを保温するコジーがあらかじめ付属している製品は珍しいですね。
料理を温かくキープできるコジーが付属
西島:食事は作ったらすぐに食べてしまうという考えの人も多いですが、あるロングトレイルハイカーさんから「食べているうちに冷めてしまう」という意見をいただき、その要望を形にしました。もちろん重くなるから使わない人もいますが、個人的には小さいほうのクッカーに合わせたサイズでのオプションと考えれば、組み合わせて使おうという人も多いのではないかと思いました。ふたつのクッカーの間にスタッキングして、歩行中のガタつきも抑えられますし。
立体的なコジーなので、調理が終わったままの熱いクッカーも入れやすい
高橋:コジーに使われている銀色の断熱素材は何ですか?
西島:ペットボトルを入れて冷やしておくような一般的な保冷バッグの材質と、いわゆるプチプチといわれる気泡緩衝材です。また、天面からの放熱を防ぐためにコジーの上を覆う断熱ディスクも追加しています。
コジーで包み込み、天面に断熱ディスクをかぶせたクッカー小の状態
高橋:料理を保温しなくてもいい夏場ならば、コジーを家に置いていって軽量化もできますね。
西島:はい。それでもできるだけ便利なコジーにしようと、ベルトもつけました。クッカーが大きめなので外側を持ちにくく、食事中に不安定になってしまうからです。このベルトは長さの調整もでき、手から落ちにくくなっています。
さまざまな工夫は、付属品であるコジーにも
高橋:大小のクッカー以外に、工夫いろいろのフタが2つ、収納袋も付いたトングになるリフター、そしてコジーと断熱ディスク。まさに「クックセット」ですね。キャンプ用ならこれくらいのセットも見つかるでしょうが、登山にも持っていけるサイズ感のクッカーでは珍しく、貴重な存在です。
付属のスタッフバッグに手を入れながら説明する西島さん
必要な機能がすべてそろった新しい定番
西島:すべてが入るナイロン製のスタッフバッグも付いていますよ。トータルで言えば、ナビゲータークックシステムは「長く使える、万能なクッカーセット」です。お湯沸かしはもちろんのこと、炊飯からパスタ調理まで一通り対応できますし、別売りのフライパンがあれば炒め物も可能です。耐久性も高いので、初心者からベテランまで安心して使えます。発売から10年近く経っても多くの方に支持されているのは、本当にうれしいですね。
リフターはクッカー内に収納したときに内部を傷つけないように、マイクロファイバーの収納ケースが付属している
フタの裏のリブを利用して、OD缶を固定している状態。水平が取れるようにフタの表側は一部、肉盛りをしている
濡れたままのクッカーを入れてもすぐに乾くメッシュ地の収納袋
多くの機能を備え、耐摩耗性にも優れたクッカーセット。
一般的なアルマイト加工より皮膜の厚い「ハードアナダイズド」を採用。
耐食性にも優れます。
保温力を高めるコジー、様々な使い方ができるリッド(フタ)、トングとしても使えるリフターなど機能性も多様なクッカーセット。
全体
直径190×高さ92mm
クッカー大用リッド
直径185x高さ20mm
クッカー小用断熱ディスク
直径140x厚さ3mm
クッカー小用リッド
直径156x高さ13mm
クッカー小
直径160x高さ73mm
クッカー小用コジー
直径165x高さ50mm
クッカー大
直径190x高さ78mm
リフター
高さ50x幅123x奥24mm
樹脂
クッカー小用断熱ディスク
アルミニウム、樹脂
クッカー小用リッド
樹脂
クッカー小
アルミニウム
クッカー小用コジー
アルミニウム(内側)、ナイロン(外側)
クッカー大
アルミニウム
リフター
アルミニウム
クッカー用収納ケース
ナイロン
リフター用収納ケース
綿
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